花人生

NOBUYOSHI ARAKI  HANA JINSEI






花曲 1997





花曲 1997





花情 2000








死想私花

梶川芳友


彼岸花、墓前の供花、そして死花。荒木さんが最初に撮った花の写真は彼岸花であったという。東京の下町、三ノ輪に生まれ、遊び場は吉原界隈、遊女たちの投込寺とされた浄閑寺の境内であり、彼岸花はその墓地にあった。

花は生殖器であり子宮である。新しい生命の種を結ぶ場所、未来を形成する世界である。人間の営みでは愛の成就する空間である。その意味で、花は幸福のシンボルとされるが、荒木さんの花は、満開の美しさではなく、清純から腐爛にさしかかる花こそが最も美しい。エロスのなかに潜むタナトスの花であり、不妊の花なのである。しかし、それが時代の花であろう。その花こそ、われわれの花であり、その不幸を背負った写真家・荒木経惟こと天才アラーキーという存在に、私はたまらなく魅かれる。

何も生み出さない不毛の大地が、われわれの日常の舞台であることを、荒木さんは身体で覚えてしまった。荒木経惟の人生の劇場は、すでに過剰なほどに五感は開花しているのに、内心の皮膚は乾いている。だがゆえに、天才アラーキーはベタベタを追究するけれど、その花道には死の匂いが立ちあがってくる。祭りの終りにも似た、花が咲いてしまったあとの風景。それこそ、かけがえのない現代の花園だという荒木さんの詩想が届いてくる。

工学技術としてのレンズの眼から、人間の眼へ。概念から肉体へ。大いなるものから、小さきものへ。荒木さんは、小町とか小娘とかのミクロコスモスの切実さに生きている。いいかえれば、卑小で猥褻な日常そのものの中に。そして、その対象がなんであれ、想像力の神が与えてくれる荒木さんの棲む場所なのである。荒木さんの私写真の「真」を「写」すことのマジメは、そこにあるのだろう。

私は荒木さんが同時代の、同世代の表現者であることをうれしいと思う。ありがたいとさえ思う。天才アラーキーが生きていることが、私の花である。といってしまうことにしよう。





年譜


1940 東京府下谷区(現東京都台東区)に生まれる。
1963 千葉大学工学部写真印刷工学科卒業。
電通にカメラマンとして入社。
1964 「さっちん」で第1回太陽賞受賞。
1971 青木陽子と結婚。
新婚旅行を撮影した写真集『センチメンタルな旅』を自費出版。
1988 田宮史郎、安斎信彦と「Aat ROOM」を設立。
1990 妻、陽子死去。
1991 第7回東川町国際写真フェスティバル国内作家賞受賞。
野村佐紀子がアシスタントとなる。
1995 初のフランスでの個展をパリのカルティエ財団現代美術館で開催。
1997 ウィーン・ゼツェッションの設立100周年記念展として、これまでの最大規模の個展「Tokyo Comedy」を開催。
2000 「Nobuyoshi Araki」展がフランス、ベルギーを巡回。「センチメンタルな旅」展をパリ、プラトーで開催。
2002 何必館・京都現代美術館にて「荒木経惟 花人生展」を開催。同時に花の写真を集大成した写真集『花人生』を刊行。
八角聡仁氏作成の年譜からの抜粋による。




展覧会図録 「荒木経惟 花人生」

展覧会を記念して「荒木経惟 花人生」を刊行いたしました。



荒木経惟の「花」写真の集大成
初期のシリーズである「彼岸花」、「近景」、「色景」、
そして鮮烈色の「花曲」、「色情花」。
また詩情あふれるモノクロームの「死情」。
さらに初挑戦となる絵画作品「花画」に至る、
センチメンタルな花人生の系譜。


「荒木経惟 花人生」 3,800円




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記念出版



豪華限定版写真集「花人生 荒木経惟」


 

花人生 荒木経惟




花人生



荒木経惟が一貫して撮り続けているテーマのひとつに「花」がある。彼が初めて撮った花は、少年時代の遊び場であった東京吉原、浄閑寺の彼岸花であった。荒木経惟の花は、満開の美しさだけでなく、清純から腐爛にさしかかる花こそが最も美しい。官能的で淫靡なエロスと、その中に潜むタナトスが交錯し、圧倒的な存在感でわれわれの感情を揺り動かすのである。

私はこの『花人生 荒木経惟』を刊行できたこと、そして彼が同時代の表現者であることを嬉しいと思う。

何必館・京都現代美術館
館長 梶川芳友




お申し込み


記念出版写真集
『花人生 荒木経惟』を直接皆様のお手元にお届けします。

● 花人生 荒木経惟
著者サイン入り
「花」オリジナルポラロイド1枚組込み
全冊別仕様 特別装幀
限 定 1501部
体 裁 全236点掲載、B4判変形、上製函入
発行所 何必館・京都現代美術館
定 価 31,500円(税込)



● お支払方法
お支払方法は、商品代引となります。
宅配業者に購入代金をお支払いいただき、商品を受け取る方法です。
手数料 500円
送 料 1,000円(一律)


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※本日より5日後以降でお願いいたします。


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