市役所前のキス 1950





ピカソのパン 1952




最後のワルツ 1949




ドアノーの共犯者

梶川芳友


1985年ヨーロッパ旅行中、ロベール・ドアノーに会っていかないかという話が突然まい込んできた。

ヴァンドーム広場に程近いラフォの事務所で待ち合わせ、街の小さなレストランに一緒に向かった。レストランに着くまでの少しの間にもドアノーは被写体でもある八百屋の親爺や、酒場のボーイから気軽に声を掛けられていた。パリの下町に暮らす人々にとってドアノーは、気の良い街の写真屋さんのようであった。ほのぼのとした人柄がパリの街、パリの人々に本当に愛されている雰囲気を感じた。
レストランでのドアノーは実に控えめであったが、初対面の私に対しては何年来の友人のように、親しげにユーモアあふれる話を数多く聞かせてくれた。その洒落た会話のなかのユーモアは、ドアノーの写真のなかに折り込まれているユーモアとまったく同じであり、魅力ある生粋のパリジャンを感じさせてくれた。

そんなドアノーの写真に、私はカメラという機械をまったく感じない。一瞬のドアノー自身のまばたきであるように思われる。ドアノーの写真を見る者は、ドアノーの視線に参加することになり、いつもユーモアという脱げ道が用意された覗き見ができ、写真家ドアノーの共犯者になってしまう。

「写真は創るものではなく、探すものだ。」というドアノーは、パリの街を自由に歩き回り、そこから自分の写真を生み出してゆく。
ドアノーの世界はパリの庶民の中に根を張り、喜びと悲しみ、そして優しさと皮肉が交流しあっている。





斜めの視線 1948





恋人達の逃亡 1951

 

年譜


1912 ジョンティイ、バル・ド・マルヌ県(パリ近郊)に生まれる。
1930 広告デザイン・写真を始める。
1939 写真通信社アジャンス・ラフォの創始者シャルル・ラドに会い、フォト・イラストを撮り始める。
1946 アジャンス・ラフォのもとに戻り、ブレーズ・サンドラ、レイモンド・グロセと出会う。
1947 コダック賞受賞。ジャック・プレヴェ−ルと出会う。
1956 ニエプス賞受賞。
1968 「傍観者の眼」カンティニ美術館(マルセイユ)にて開催。
1973 フランソワ・ポーシルと「ロベール・ドアノーのパリ」と題する短編映画を制作。
1977 「6人の写真家:パリ郊外を探し求めて」ジョルジュ・ポンピドゥ−・センター(パリ)にて開催。
1983 国立写真賞(ナショナル・フォトグラフィ賞)グランプリを受賞。
1984 レジオンドヌール・シュバリエ(勲五等)受勲。
1986 バルザック賞受賞。
「Un Certain Robert Doisneau」(ロベール・ドアノーという名の)出版記念回顧展をパリで開催。
1987 何必館にて「ロベール・ドアノー写真展」開催。
1992 パリ郊外、ジョンティイに「ドアノー館」がつくられる。
1994 4月1日、パリにて死去。
1995 「ドアノー大回顧展」カルナヴァレ美術館(パリ)にて開催。
1998 何必館にて「ロベール・ドアノー写真展」開催。
2005 何必館にて「パリの知性 ロベール・ドアノー展」開催。








関連グッズ

ロベール・ドアノー写真集

2,800円


ロベール・ドアノーポストカード A (8枚組) 1,000円
ロベール・ドアノーポストカード B (8枚組) 1,000円
ロベール・ドアノーポスター 1,000円



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