木村伊兵衛展

秋田おばこ

秋田おばこ 昭和28年

はじめに

このたび「躍動する昭和 木村伊兵衛展」を開催いたします。

木村伊兵衛は日本近代写真の第一人者であり、常に日本の写真界を牽引してきました。
木村が残した「昭和」という時代の風景は、私達の記憶の中にある懐かしい感情を蘇らせます。

日本写真界に新しい潮流を生み出していった木村は、小型カメラ「ライカ」と出会い、速写性を生かした、スナップやポートレイトに独自の感覚を発揮しました。出会った瞬間にその存在の核心を見抜き、シャッターを切る。木村伊兵衛にとって、カメラは肉眼よりもはるかに奥深くを視ることのできる道具だったのではないでしょうか。

本展では、「躍動する昭和」「秋田の民俗」「よみがえる都市」「日本列島」「ポートレイト」というテーマを、何必館コレクションより厳選した約60点の作品で構成し、展覧いたします。

ポートレート
解説

木村伊兵衛の眼

梶川 芳友

 

木村伊兵衛がのこした「昭和」という時代の日本の風景。それは私の記憶のなかにある懐しい感情を蘇らせる。

他者の気持ちと体温が触れあう絶妙な距離感を保ちながら、野暮な一線はさらりとかわす。軽妙洒脱でありながら、出会った瞬間に存在の核心を見通す粋な眼の輝きが、人の心を打つのである。
東京下谷の下町育ちで、寄席や義太夫に通う早熟な少年だった彼は、小型カメラ「ライカ」と出会い、東京の下町だけでなく、沖縄をはじめ日本各地のスナップや、著名人のポートレイトに独自の感覚を発揮し、日本写真界に新しい潮流を生み出してゆく。

昭和27年、たまたま訪れた秋田で「いま私達が生きている現実の縮図として、写真的に表現し易い面を沢山持っているように感じられた」と、農村の人物や風物を撮りはじめる。その後、秋田の一地域に執着し、昭和46年までに21回も訪れたこのシリーズは、ムラの微妙な胎動を浮き彫りにするとともに、農村を通して日本の文化と風土を丸ごと捉えた、木村伊兵衛のなかで最もすぐれたドキュメントとなっていくのである。

木村伊兵衛にとってカメラは肉眼よりもはるかに奥深くを視ることのできる道具であった。優れた資質とたゆまざる努力によって、昭和を撮りつづけた彼は、60歳を越えた頃から、人間を見る眼が非常にはっきりしてきたという。それは日常の生活のなかにある、生と死の根源を切り取る写真家の眼である。

気に入ったものに出会うと「粋なもんですね」というのが口癖だった木村伊兵衛の生涯には、贅沢な時間が流れている。


(何必館・京都現代美術館長)

展示作品例
「躍動する昭和」
月島
月島 昭和29年

東京駅八重洲口
東京駅八重洲口 昭和29年

「秋田の民俗」

雄物川

雄物川 昭和28年

大曲内小友
大曲内小友 昭和33年

秋田 青年
秋田 青年 昭和27年

「よみがえる都市」

川開き

川開き 昭和28年

本郷森川町
本郷森川町 昭和28年

「日本列島」
那覇の芸者
那覇の芸者 昭和10年

東日暮里
東日暮里 昭和33年

「ポートレイト」
高峰秀子
高峰秀子 昭和31年

永井荷風
永井荷風 昭和29年

展覧会情報


躍動する昭和 木村伊兵衛展

会期: 2011年1月 21日(金) 〜 3月6日(日) ※月曜休館

開館時間: 10:00〜18:00 (入館は17:30まで)

会場: 何必館・京都現代美術館

     京都市東山区祇園町北側271 電話:075-525-1311 [地図]

入館料: 一般1,000円 学生800円

主催: 何必館・京都現代美術館

● 記念出版 「木村伊兵衛写真集 」  2,600円

 

略年譜

1901 東京下谷金杉上町に生まれる。
1932 野島康三、中山岩太と月刊雑誌『光画』を発刊。
1933 名取洋之助、原弘、伊奈信男らと日本工房を設立。
1935 沖縄県琉球本島に1ヶ月滞在し、写真撮影を行う。
1950 日本写真家協会が設立され、初代会長に就任。
1952 農村生活の撮影のため、秋田を訪れる。
1974  5月31日死去、享年72歳。
1975  木村伊兵衛写真賞が創設される。

関連グッズ

・記念出版  木村伊兵衛写真集写真集

・木村伊兵衛ポストカードA(8枚組)   1,000円

・木村伊兵衛ポストカードB(8枚組)   1,000円

・木村伊兵衛ポスター           1,000円

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