このたび「ロニスの見つめたパリの自由 WILLY RONIS展」を開催いたします。
昨年、2009年9月12日に99歳の生涯を閉じたウイリー・ロニスに捧げる本展覧会は、その功績を称え、何必館コレクションを一堂に公開いたします。 まさに20世紀の証人とも言える彼は、ルポルタージュ写真を始め、広告、ファッションなど幅広い分野の作品を数多く残しました。 本展ではウイリー・ロニス生誕100年を記念して、何必館コレクションの中から厳選されたオリジナルプリント約60点を一堂に展示いたします。 20世紀のパリを写し、パリと共に生きた写真家ウイリー・ロニスの展覧会をこの機会に是非ご高覧下さい。


バスティーユの恋人 1957

 


ロニスの見つめたパリの自由            梶川 芳友

 

  昨年、まだ夏の暑さが残る9月12日、ウイリー・ロニスの訃報が私のもとに届いた。享年99歳であった。
  20世紀のパリの写真において偉大な功績を残した写真家、ウイリー・ロニス。アンリ・カルティエ=ブレッソン、ロベール・ドアノーなどと共にフランスにおける写真の源流を築いた作家であった。しかし、大仰なフレーズを並べて彼の功績を称えるよりも、私の出会ったウイリー・ロニスは、パリの日常を優しい眼差しで追った人間味あふれる写真家であった、と言いたい。
  生前、私はパリのベルヴィル・メニールモンタンにあったロニスのアトリエを3度訪れた。すれ違う労働者や職人たちと気さくに言葉を交わし、彼の知り尽くしたパリの下町を案内してくれた。地に足をつけ、たくましく生きる人々。それはロニス自身の姿と重なり、その背中からはパリの自由が伝わってきた。自由であるからこそ持ち得る強さや思いやり。矍鑠として尊厳に満ちたロニスは、自分らしい正義を持ち、まさに「真摯な生き方」をしていた。彼の作品に写る身体化された「パリの自由」。生粋のパリジャンの彼が撮影したからこそ、パリに生きる市井の人々が溌剌と写し出されているのではないだろうか。
  ともすると芸術作品は、神秘性や非日常的な美しさ、衝撃だけを強調し時流や風潮に乗って感覚の表層をかすめるだけのものになりうる。しかしウイリー・ロニスの作品には、労働、反抗、お世辞、毅然とした態度、謝罪、諦め、落胆、そして死といった、我々と同じ立場で責任を担い、生きる姿の中から確かな芸術性が掴み出されている。
  戦争、革命と激動の20世紀を生きたパリの人々は、復興の中にも自由を掴み、時代を進んでいった。ロニスもまたこの時代を生きた証人でありその真摯な眼差しによって写し出されてきたパリの歴史が、優しさと誠実さをもって浮かび上がる。ロニスの見つめたパリの自由は、今もなお写真という表現技法の中で確かに息づいている。
  「用心深く、誠実であるままに人生の道を進む」そんな純朴な考えを胸に写されたロニスの20世紀のパリ。その一瞬が永遠となり、今でも色褪せることなく私たち見る者の心に静かに寄り添う。ウイリー・ロニスは、日常という劇場を凝視するまぎれもない20世紀の表現者であった。

(何必館・京都現代美術館長)

 


 


イル・スュール・ラ・ソルグ、プロヴァンス 1979


捕虜の生還、パリ 1945

雨の日のヴァンドーム広場、パリ 1946



ホンダメンタ・ヌォーヴェ、ヴェニス 1959 模型飛行機製作、ヴァンサン、ゴルド 1952

 

・ウイリー・ロニス写真集

 

・ポストカード(8枚組)   1,000円

・ポスター「セーヴル・バビロン交差点」  1,000円 

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